はじめに
計装エンジニアとしてキャリアを考えるとき、「DCSとPLCの違いがよく分からない」「どちらを扱ってきたかで転職に差が出るの?」と悩む人は多いです。
本記事では、DCSとPLCの技術的な違いを分かりやすく整理したうえで、 転職・年収・キャリアアップにどう影響するのかを現役目線で解説します。
「今後どちらのスキルを伸ばすべきか?」が明確になる内容なので、 現場系・設計系どちらの計装エンジニアにも参考になるはずです。
DCSとは?【大規模プラント向け制御システム】
DCSの概要
DCS(Distributed Control System)は、 化学プラント・石油・発電所などの大規模プラントで使われる分散型制御システムです。
制御・監視・運転操作・アラーム管理などを 一体のシステムとして構築・運用するのが特徴です。
DCSの主な特徴
- 大規模・連続プロセス制御に強い
- 冗長構成(信頼性・安全性が高い)
- HMI・制御・履歴管理が統合されている
- メーカー依存度が高い(横河・三菱・ハネウェルなど)
DCSを扱う計装エンジニアの役割
- 制御ロジック設計
- DCS画面(HMI)設計
- プラント立上げ・試運転
- 定修・改造対応
PLCとは?【装置・ライン制御の主役】
PLCの概要
PLC(Programmable Logic Controller)は、 装置・生産ライン・機械制御で広く使われる制御装置です。
DCSよりも小規模・高速・柔軟な制御に向いています。
PLCの主な特徴
- 装置単位・ライン制御に強い
- ラダー・STなどのプログラム制御
- メーカーが非常に多い(三菱・キーエンス・シーメンスなど)
- 他システムと組み合わせやすい
PLCを扱う計装エンジニアの役割
- PLCプログラム作成
- I/O設計・配線設計
- タッチパネル・SCADA構築
- 装置立上げ・現地調整
DCSとPLCの違いを比較
| 項目 | DCS | PLC |
|---|
| 主な用途 | 大規模プラント | 装置・ライン制御 |
| 制御規模 | 大規模・連続制御 | 小〜中規模 |
| システム構成 | 統合型 | 組み合わせ自由 |
| メーカー依存 | 高い | 比較的低い |
| 転職市場 | プラント業界中心 | 幅広い業界 |
キャリアへの影響①:転職市場での評価
DCS経験者の評価
- プラント系エンジニアリング会社で高評価
- 化学・石油・発電・インフラ業界で需要が安定
- 設計職・上流工程に進みやすい
一方で、 業界が限定されやすいという側面もあります。
PLC経験者の評価
- 装置メーカー・SIer・工場自動化で需要が非常に高い
- 業界横断的に転職しやすい
- 若手〜中堅層の求人が多い
転職先の選択肢はPLC経験者の方が広い傾向があります。
キャリアへの影響②:年収・キャリアアップ
DCS×キャリア
- プラント設計・プロジェクト管理へステップアップ
- 海外案件・大型案件に関われる
- 経験次第で高年収を狙いやすい
PLC×キャリア
- 装置制御のスペシャリストとして需要が高い
- FA・自動化分野でスキル展開しやすい
- 管理職・技術責任者への道もある
「深さ重視」ならDCS、「幅広さ」ならPLCと考えると分かりやすいです。
どちらを選ぶべき?タイプ別おすすめ
DCSが向いている人
- プラント業界で長く働きたい
- 設計・上流工程に進みたい
- 安定した業界で専門性を高めたい
PLCが向いている人
- 業界を限定せずに転職したい
- 装置・機械制御が好き
- スキルの汎用性を重視したい
DCSとPLC、両方経験すると最強
実は転職市場では、 **「DCSもPLCも分かる計装エンジニア」**は非常に希少で高評価です。
- プラント全体+装置制御の理解
- 上流〜現場まで対応可能
- PM・技術リーダー候補になりやすい
キャリアの途中で、 意識的にもう一方の経験を積むのも有効な戦略です。
まとめ|DCS・PLCの違いを理解して戦略的にキャリア設計しよう
- DCSとPLCは用途もキャリアも大きく異なる
- DCSは「プラント×専門性」、PLCは「汎用性×選択肢」
- 自分の志向に合ったスキル選択が重要
DCS・PLCの違いを理解したうえでキャリアを考えることで、 転職の成功確率は大きく上がります。
次の記事では、 「現場系計装エンジニアが設計職に転職する方法」について詳しく解説します。
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はじめまして。現役計装エンジニアとして働きながら、転職やキャリアについて発信している「けい」です。
プラント業界での現場・設計経験をもとに、計装エンジニアが転職で後悔しないための情報をお届けしています。