計装エンジニアとは

計装エンジニアとは?仕事内容を現役目線で徹底解説

けい

はじめに|計装エンジニアは何をしている仕事なのか?

「計装エンジニアとは、どのような仕事なのか?」

計装エンジニアは、技術職の中でも仕事内容や働くイメージがつかみにくい職種の一つです。「計測」や「制御」という言葉を聞いたことはあっても、それが実際の工場やプラントでどのように使われているのかまでは、なかなか想像しにくいのが現実でしょう。

しかし実際には、計装エンジニアはプラントや工場を安全・安定・効率的に運転するために欠かせない中核的な技術職です。目立つ存在ではありませんが、計装がなければ設備は正常に動かず、製品も安定して生産できません。

この記事では、業界未経験の方でも理解できるレベルを意識しながら、次の内容を順番に解説します。

  • 計装エンジニアの基本的な役割
  • 現場で行っている具体的な仕事内容
  • 現場系と設計系という2つの働き方の違い
  • 計装エンジニアに向いている人の特徴
  • 将来性やキャリアの考え方

「将来エンジニアとして働きたい」「プラント業界に興味がある」「就職・転職先として計装を検討している」

そんな方が、計装エンジニアという仕事を正しく理解するための入門記事として読んでいただければ幸いです。


計装エンジニアとは?|役割を一言で解説

計装エンジニアとは、

温度・圧力・流量・液位などの物理量を測定し、そのデータをもとに設備を制御する技術者

のことです。

プラントや工場では、原料を加熱する、混ぜる、冷やす、流すといった工程が連続して行われています。これらの工程は、あらかじめ決められた条件(温度〇℃、圧力〇MPa など)を守ることで、初めて安全かつ安定した運転が可能になります。

その条件を守るために、

  • 今の状態を正確に「測る(計測)」
  • 測った結果に応じて設備を「動かす(制御)」

という役割を担っているのが計装エンジニアです。

化学プラント、石油・ガス、製鉄、食品、医薬品、発電所など、ほぼすべてのプロセス産業に計装エンジニアは欠かせない存在となっています。


なぜ計装エンジニアが重要なのか

もし計測や制御が正しく行われなければ、プラントではさまざまな問題が発生します。

  • 温度や圧力の異常による事故・トラブル
  • 製品品質のばらつきや不良品の発生
  • 設備停止による生産ロスや納期遅延

これらはすべて、数値を正しく扱えなかった結果とも言えます。

計装エンジニアは、設備の状態を数値で正確に把握し、異常があれば早期に対応できる仕組みを構築します。そのため計装は「縁の下の力持ち」と表現されることもありますが、実際にはプラント運転の安全と安定を根本から支える重要な分野です。


計装エンジニアの主な仕事内容

計装エンジニアの仕事は、大きく次の3つに分けられます。

① 計測(センサー・計器)

プラントでは、さまざまな計測機器が使用されています。

  • 温度計(熱電対、測温抵抗体など)
  • 圧力計・差圧計
  • 流量計(電磁式、渦式など)
  • レベル計(液面計)

計装エンジニアは、これらの機器について

  • プロセス条件に合った機種を選定する
  • 正確に測定できる位置へ設置する
  • 定期的な点検・校正を行う

といった業務を担当します。

計測値が誤っていれば、その後の制御もすべて誤ったものになります。「正しく測ること」こそが、計装の出発点です。


② 制御(DCS・PLC)

計測したデータをもとに、設備を自動で動かす仕組みが「制御」です。

  • DCS(分散制御システム)
  • PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)

といった制御装置を用いて、

  • バルブの開閉制御
  • モーターの起動・停止
  • 異常時の自動停止(インターロック)

などを行います。

制御は理論だけでなく、安全性や現場特性を踏まえた設計・設定が重要であり、計装エンジニアの腕の見せ所でもあります。


③ 保全・トラブル対応

どれだけ入念に設計された設備であっても、故障や劣化を完全に防ぐことはできません。

  • 定期的な点検・メンテナンス
  • センサーや計器の故障対応
  • 突発トラブルの原因調査と再発防止

も、計装エンジニアの重要な役割です。

特に現場では、数値データだけでなく「音」「振動」「見た目」なども含めて判断する場面が多く、経験を積むことで対応力が大きく向上していきます。


現場系と設計系|2つの働き方の違い

計装エンジニアの働き方は、大きく「現場系」と「設計系」に分かれます。

現場系計装エンジニア

  • 工場やプラントに常駐
  • 点検・保全・トラブル対応が中心

特徴

  • 実際の設備に触れる機会が多い
  • トラブル対応力や実践的な知識が身につく
  • 夜間対応や休日対応が発生する場合もある

設計系計装エンジニア

  • エンジニアリング会社などに勤務
  • 設計、仕様検討、図面作成が中心

特徴

  • デスクワークの比率が高い
  • 論理的思考力や設計力が求められる
  • キャリアアップや年収アップにつながりやすい

計装エンジニアに求められる知識・スキル

計装エンジニアの仕事は、以下のような分野と強く結びついています。

  • 電気・電子工学の基礎
  • 計測工学
  • 制御工学
  • プロセスや化学工学の基礎

これらを単なる知識として覚えるのではなく、実際の設備や現象と結びつけて理解することが、現場で活きる力になります。


計装エンジニアに向いている人の特徴

  • 機械や設備の仕組みに興味がある
  • 数値やデータを扱うことに抵抗がない
  • 安全や品質を重視できる
  • 地道な作業をコツコツ続けられる

派手さはありませんが、技術で現場を支える仕事にやりがいを感じられる人に向いている職種です。


計装エンジニアの将来性とキャリア

計装エンジニアは、今後も高い需要が見込まれる職種です。

  • プラント産業が今後も一定数存在し続ける
  • 自動化・デジタル化の進展により計装の重要性が増している
  • 経験を積んだ技術者が慢性的に不足している

そのため、専門性を身につけることで、長期的に安定したキャリアを築きやすい分野と言えるでしょう。


まとめ|計装エンジニアは「安全と安定」を支える仕事

計装エンジニアは、

  • 数値を正しく測り、設備を制御することで
  • プラントの安全と安定を支え
  • 専門知識を実務で活かせる

という特徴を持つ仕事です。

これまでの経験や知識が、どのように実際の仕事につながるのかを理解することで、今後のキャリア選択や方向性を考える大きなヒントになります。

将来、計装エンジニアとして働くことを考えたときは、就職や転職の仕組み、注意点を早めに知っておくことも非常に重要です。

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現役計装エンジニア|転職・キャリア発信
はじめまして。現役計装エンジニアとして働きながら、転職やキャリアについて発信している「けい」です。
プラント業界での現場・設計経験をもとに、計装エンジニアが転職で後悔しないための情報をお届けしています。
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